イディオッツ

恐らくこの作品の名前を聞いた事のある人は少ないんじゃないでしょうか。マイナーな映画だと思います。

内容なんですが・・・物凄く難しい所を作品にしてますね。この作品に出てくる登場人物というのが、知的障害者の方たちなんですね。でも、実は登場人物たちはただ単に知的障害者のふりをして楽しんでいるだけなんですよ。

多分、反感の方が強いんじゃないですかね。作品にとって裏切りというのは間違いなく必要な物ですがこの作品での裏切りはちょっと違うものですから。

でも、この監督は知的障害という作品としては相当取り上げるのが難しいテーマに正面から挑んでる気がしますね。このテーマをどうやって自分なりに調理していくか。悩んで悩んで行き着いた結果がこれなんじゃないですかね。

この作品はすべての物に絶望して、なおかつ全ての物を包容するくらいの優しさがないと撮れない作品だと思います。例えば、障害を取り上げた作品ってたくさんありますよね。邦画でもたくさんありますし、24時間テレビなんかはそれが軸になって作られています。そういう物に素直に感動してしまう人ではこれは作れないでしょうね。

そういう作品に対して全部嘘じゃねぇか(もちろん24時間テレビは本当ですが)という気持ちがこの監督はあるんじゃないですかね。でも一方では障害を抱えてる人は間違いなくいる。そういう人もぜんぶひっくるめて人間じゃないか。くらいの感性が無いとダメなんじゃないかと思います。それと同時に監督もこの作品を見て反感を覚えるようじゃ、まだまだだという事を言いたいんじゃないでしょうか。

この作品の中で終始存在しているテーマとして、他人に対しての優しさがあると思います。優しさって本当に難しいんですよね。自分が優しさだと思ってやった行動が、相手を逆に傷つけたりとか。自分の中に持っている優しさが邪魔になってしまう時って少なくないと思います。でも、優しさって必ず誰かが見てくれている物だと思うんですね。こんなクサい台詞も言いたくないですけど、神様も優しさって見てくれている物だと思います。だから、例え小さな優しさでも、間違いなく持っていた方が良いんですよ。悪事千里を走るでは無いですが、優しさは万里を走る、だと思いますね。

様々な作品あると思いますが、この作品は物凄く独特です。全ての人から大絶賛はされないかもしれませんが、もっと評価されてもいい、観る人の感性が問われる作品だと思います。

 

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